ラフ・林・隣のホールへ打ち込んだ場合 “ゴルフマナーの基本”
- 2017/08/02
- 16:26

ラフや林の中にボールを打ち込んだ場合は、すみやかに足を運び、自分のボールを見つけ出すことが急務になります。早く見つけないと、ほかのプレーヤーが遠球先打のルールによる打順を決めることができません。また、本人もあらかじめ持っていったクラブ以外のクラブが欲しくなる可能性もあるので、それを用意するためにも急がなくてはいけません。
ボールを見つけたら、それが自分のボールであるかの確認を忘れてはいけません。同じ方向に2人以上のプレーヤーが打ち込んだ場合は、誤球の心配があります。また、ラフや林の中には、ロストボールや隣のホールからのボールがあることの可能性も大きいです。ですので、ボールを見つけただけでは不十分。それがマイボールであるかどうかの確認が必要になります。
深いラフに潜っているボールや、落ち葉に埋もれたボールは、少し離れるとまた見失ってしまい、再びボール探しをしなければならないことがよくあります。そのような場所を離れる場合は、ボールの近くに帽子やハンカチなどを目印に置いていくと見失うことがなくなります。
ラフに打ち込んだ際の注意点
深いラフで草をかき分けて探すとき、あるいはアドレスに入って草の中にクラブをソールするときは、ボールを動かさないように気をつけましょう。ボールの捜索のために動かした場合は無罰で元に戻すことができますが、有利にも不利にもならない戻し方はとても難しいです。また、ボールの捜索以外でプレーヤー(そのキャディも)の体や道具で直接にであれ、間接にであれボールを動かした場合は、1ペナルティをつけて、元の位置にリプレースしなければいけません。(ゴルフ規則18)
クラブヘッドをボールの後ろにセットする時に、ごく軽く地面につけることは許されていますが、草をおさえつけるようなことはライの改善を意図したアンフェアな行為となります。(ゴルフ規則13)とくにフェアウェイウッドのようにソールが大きいクラブの場合は、たとえ故意でなくても手前の草をおさえつけ、寝かせてしまうことになるので、用心深く構えなければいけません。
ラフで素振りをするときは、草を刈り取らないように注意しましょう。バサッと刈り取った草がまた生え揃うのにいったい何日かかるのでしょうか・・・。また、飛び散った草は拾いようがなく、ゴミとなるだけです。ラフの抵抗の度合いを確かめるために素振りを何度も繰り返すのはやめましょう。素振りのたびにラフの芝が切り取られ、周囲にゴミが撒き散らかされるだけです。さらに、何度もの素振りはスロープレーの原因になります。
ラフの中にはよく大きめの石が落ちています。見つけたら必ず拾って始末しましょう。草に隠れている石をスイングや素振りで知らずに打った場合、クラブヘッドを傷めます、草刈り機の刃も傷めます、飛んだ石が人に向かっていく危険は言うまでもありません。見つけたら拾い上げて、近くの木の根元に、ブッシュや谷などがあればその中へ、適当な捨て場がなければひとまずカートのゴミ箱へ入れて、後で始末しましょう。
林の中での処理方法
林の中は特に平常心を失いがちになるエリアです。ベアグランドが多いために、ショットするとフェースに大量の土がついてしまいます。それを落とそうとして、クラブヘッドを木の幹や根元に叩きつける人を目にすることがあります。また、林の中から一度でうまく出せないため、腹いせにクラブヘッドを木に叩きつける不作法者もいます。絶対にしてはならない行為のひとつです。
木は芝と同じくゴルフ場の価値ある生きた財産です。木の幹についた傷は数か月では消えません。
また、林の中は人の目のないところです。その反対に、枯れ枝、枯れ草、石ころなど取り除きたい邪魔物が多いです。取り除いてよいルースインペディメントかどうかの判断、ライの改善にならないかどうかの判断、ボールが動かなかったどうかの判断など、正直で厳しいプレーマナーを試される場でもあります。
隣りのホールへ打ち込んだ場合の配慮
隣りのホールへ打ち込んだとしても、不用意に入っていってはいけません。隣のホールは、そのとき、そこでプレー中の人たちのものです。優先使用権はその人たちにあります。入っていくには、隣のホールの人たちがプレーを済ませた確証を得て、さらに許しをもらうことが必要になります。
不用意に入っていくと、ボールが飛んできて大変危険です。そして、いきなり入っていけば、隣のホールで打っている人たちを、「まだ前の組のプレーヤーがいたのか!」と驚かせることになります。
隣りの人たちがまだプレー中なら、待たなければいけません。林の中か木陰か、または自分のホールの端で、できるだけ目立たないようにして待つ配慮が必要です。
よく様子を覗って、入っていいタイミングになったら、帽子やサンバイザーを取り、手を上げるなどのジェスチャーをし、「どうぞ」の声か合図があってから入っていくのが当然です。
隣りのホールからボールを出したら、礼の挨拶をし、早足で出ていきましょう。
前方にも、後方にも目を配ろう
前方がよく見えるティショットに比べ、ホールの途中からのショットは、前方の視認が難しくなることが多く、前の組への打ち込みミスをおかしやすくなるので、安全をよく確認してからプレーすべきです。
しかし、もし打ち込みそうになったら、躊躇せずに「フォアー!」の大声で危険を告げましょう。それが事故を未然に防ぐためにできる唯一の努力です。打ち込んでしまった場合は、なにはともあれ誤りの挨拶と、事態の軽重によってはしかるべき行動に移ることが大事です。
打ち込みに関してはこちらの記事もご覧ください。スマートゴルファーのティショット “ゴルフマナーの基本”
ラウンド中はターゲット方向である前方ばかり見ないで、後方を振り返ることも大事です。なぜなら、優れたコース設計家はフェアウェイまたはグリーンからティグラウンド方向の視界にもすばらしい造園美をつくります。これを鑑賞しない手はありません。景色を眺めることはゴルフの楽しみのひとつになります。
また、パー4のホールでは、第2打地点でティショットの距離と残り距離を見比べるよいチャンスでもあります。距離の目測能力を養い、距離感の訓練ができます。
もうひとつ、後ろへの大切な目があります。後ろの組の存在をいつも目に入れると、急いでプレーする、あるいは余裕を持ってプレーするなど、適切な対応ができます。自分の組が手間取って後ろの組を待たせている場合には、プレーを終えて前進するとき、手をあげて「どうも」の気持ちを表すと良いでしょう。それがたとえ待たせた原因が自分たちの前の組の遅延プレーの場合であってもです。
「お待ちどうさま、さあどうぞ」の気持ちを表すのが、ゴルファー同士の自然なしぐさです。
ゴルフマナー詳細一覧全集はこちらの記事から:ゴルフマナーの基本の「キ」 “ゴルフマナーの基本”
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